瑞穂区桜山駅4番出口より徒歩1分の桜山あしかり歯科です。
今日は外科的挺出についてです。
また難しく、聞いたことの無い言葉だと思いますが、、
この前の患者さんとの会話です。
Kr「銀歯が取れてしまったんですけど、その後1年完全に放置してしまった
んです。前の歯科医院で歯を抜かないといけないって言われてて今日は
歯を抜いてもらおうかなと思ってきたんですけど」
Dr「確かにかなり虫歯で状態が悪そうですね。特に痛みとかはないんです
か?」
Kr「そうなんです、痛みがないから放置してしまって、、
どうでしょうか?」
Dr「確かに治療がこのままでは出来る状態ではないですね。
虫歯が深すぎて全部取りきれないと思います。
ただこの根っこをどうしても残してみたいなら、一つ方法がありま
す。」
Kr「どんな方法ですか?」
Dr「外科的挺出という方法です。これは通常の治療法では保存が困難な歯を
一旦抜歯し口腔外で必要な処置を行ってから同じ歯槽窩に戻すような
処置をする事によって保存が可能になる場合があります。」
Kr「そんな処置方法があるんですね。一度考えてみます。」
このように例えば外傷(事故や転倒など)、かなり深い虫歯でご自身の健全な歯が歯茎の下の骨の高さまで喪失している歯を修復していく場合、生物学的幅径(つまり歯茎の上にご自身の歯がしっかりある状態)を再度確立しご自身の歯をしっかり確保する必要があります。
理由としてはこの生物学的幅径を無視して差し歯などを作成していく場合、歯肉の炎症が起きたり、修復物の脱離、もしくは最悪歯根破折(根っこが折れてしまう)などが考えられるからです。
この生物学的幅径を確保するために、歯の傾斜や萌出量を外科的に変更する目的で、一旦抜いた歯を元の抜いた穴(歯槽窩内)へ、傾斜を治したり、頬舌的に回転させたり、あるいは歯冠方向へ挺出させたりして再植立する処置、方法の事を言います。
この処置の場合、適応症としては抜歯時に歯根膜(歯の根っこ)にダメージを与えにくい(すなわち抜歯しやすい形態の歯)が適応となってきます。
逆に例えば上顎の第1小臼歯の様に歯根面の凹がきつい歯や多根歯で歯根が開いている歯、湾曲している歯、形態が先太りの歯などは歯の脱臼が困難な事や術後付着の獲得に失敗する可能性が高いので適応症とはなりにくいです。
残念ながら歯の保存が難しくなった場合、条件が揃えばこのような治療法もあり御自身の歯が残せる状況になるかもしれません。
もし気になる方がいればかかりつけの歯科医院で相談してみましょう!