桜山あしかり歯科の芦刈了平です。
今日は糖尿病と歯周病の関係についてです!
まず糖尿病についてですが、以前ブログでもお話したようにインスリン(インシュリン)という血糖値を下げる働きを持つホルモンの作用が不十分になる為に血液中の血糖値が高い状態になってしまう病気のこと。血糖値というのは、ケーキやチョコレートなどの甘いお菓子を食べると上がります。
実は糖尿病にかかっている方は歯周病を発症するリスクが高くなり、歯周病に感染すると糖尿病が悪化(重症化)するリスクが高くなることが明らかになっているのです
では、糖尿病と歯周病の相関関係について詳しく見ていきましょう。
・糖尿病になってしまうと歯周病を招きやすい
・糖尿病になってしまうと歯周病が重症化しやすい
・糖尿病にかかっている期間が長い人ほど歯周病の罹患率が高い
・血糖値のコントロールがうまくいかない(高血糖状態)人ほど歯周病
が重症化しやすい
・歯周病がかなり重症化した人ほど血糖値のコントロールがうまくいかない
・歯周病の人はそうでない人に比べて糖尿病の指標であるHbA1Cの値
が高い
・糖尿病の人が歯周病を治療すると、HbA1Cの値がおよそ最大1%改
善する(正常値上限はおよそ6%)
次に糖尿病になる事で歯周病のリスクが高くなる主な理由として
①免疫力が低下する
糖尿病になると、細菌と戦ってくれる好中球(白血球の一種)の働きが鈍くなります。それによって体内の感染防御機能が弱くなるため、さまざまな感染症にかかりやすくなるのです(実は歯周病はギネスブックに載っている人類最大の感染症なのです)。細菌の活動が活発化すると、通常はそれに抵抗しようとする人体の作用が働きますが、糖尿病になるとこの働きが低下するので歯周病になりやすくなります。
②組織の修復機能が低下する
高血糖状態になると組織を修復する機能がかなり低くなってしまいます。ヒトの体は新陳代謝により老化して壊れた(死滅した)細胞の数だけ、新しい細胞が作られて破壊と修復のバランスを保っていますが、糖尿病によって組織の修復機能が低下すると「修復」が「破壊」に追いつかなくなるため歯周病が進行しやすくなります。
次に歯周病になる事によって糖尿病が悪化する主な理由として
インスリンが作りにくくなります。
歯周病になると、細菌から出される毒素が歯茎の毛細血管から血液中に入り込みます。この時、人の体は毒素に対抗する物質(サイトカインと言います)を出すのですが、この物質がインスリンを作りにくくしてしまうため、血糖値が下がらなくなってしまうのです。血糖値が高いと、以前もブログでお話ししたようにさまざまな合併症を招きやすくなります。主な3大合併症としては糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害になります。
・糖尿病腎症
腎臓が老廃物をろ過できなくなり、腎臓が機能しなくなると透析が必要になる
・糖尿病網膜症
失明原因の第1位で、かなり進行しても症状が出にくいのが特徴でありある日突然目の前が真っ暗になる
・糖尿病神経障害
神経細胞に血流がいかなくなり、全身の神経に障害が起こってくる、小さな傷などでも足が腐ってしまい、最悪足の切断もある
また糖尿病により、心筋梗塞、脳梗塞のリスクが何倍にも高まる事が分かっています。
さらに、インスリンが作りにくい状態が続くと、今度は体がより多くのインスリンを作り出そう過剰に頑張ります。するとインスリンを作り出す細胞がオーバーワークとなり、分泌機能そのものが低下。糖尿病が悪化してしまうのです。
どちらのリスクも少なくするために
ここまで読んでいただいてみなさん、糖尿病と歯周病が互いに与え得る悪影響についてはご理解いただけましたでしょうか?「視力が落ちる」「腎臓が老廃物をろ過できなくなる」「手足がしびれる」といった合併症を招くことがある糖尿病ですが、適切な治療によって歯周病が改善されれば、糖尿病の指標であるHbA1Cの値が最大1%減少する(=血糖コントロールが改善する)という論文も出ています。
※HbA1Cの正常値上限はおよそ6%
HbA1cの簡単な目安は+30で体温と考える!でしたね。
歯周病の発症リスクと糖尿病の悪化リスク、どちらも少なくするために、糖尿病の方(もしくは予備軍と診断された方)は一度歯医者さんで口の中を見てもらっては如何でしょうか